鍼灸コラム

2025 / 10 / 15  13:28

「ながら生活」は未病を病気に進行させる

「ながら生活」は未病を病気に進行させる

~自分の身体に“戻る力”を取り戻そう~

スマホを見ながら食事をする。
テレビをつけたまま家事をする。
音楽やSNSを流しっぱなしで仕事をする。

私たちの生活は、いつのまにか「ながら」が当たり前になりました。
便利で効率的に見えるこの習慣——
実は、自分の体調変化に気づけなくなる最大の原因です。

*感覚のアンテナが鈍る

人の身体は、本来とても繊細にできています。
少し冷えた、眠れていない、呼吸が浅い――
そんな小さな変化も、本来なら身体が教えてくれる。

でも、意識が常に「外側」に向いていると、
そのサインをキャッチする内受容感覚(インターセプション)が鈍っていきます。
結果として、
・疲れているのに気づかない
・食べすぎ・ストレス・姿勢の崩れを放置
・気づいたときには「自律神経の乱れ」や「慢性不調」に
という流れになってしまうのです。

*「ながら」は身体と心の分離を生む

東洋医学では、「気」が身体と心を結んでいると考えます。
気が乱れると、心と身体はバラバラに動き始めます。

「ながら生活」とは、まさにこの心身分離の状態
身体はここにあるのに、意識(心)は別の場所に飛んでいる。
すると、エネルギーの流れが分断され、肩こりや不眠、頭の重さ、感情の揺れなどが現れやすくなります。

*今ここに戻る練習

1日数分でも、
何も「しない」時間を持ってみてください。
呼吸の音、身体の重さ、心臓の鼓動を感じるだけでいいのです。

最初は退屈に感じても、続けるうちに体温、呼吸、内臓の感覚、心の緊張や安心……
身体が発している小さな声に気づけるようになります。

その瞬間、あなたの「感覚」は再び目を覚まします。
それが、自分の身体に戻る力です。