鍼灸コラム
2025 / 10 / 30 12:19
神戸東洋医療学院にて講座をさせていただきました
神戸東洋医療学院で卒業生として講義をさせていただきました。4年目となりました。
年を追うことに女性の鍼灸師志望が増えていることに驚かされます。
少しでも私の経験や想いが役に立てばいいなと思います。
私自身も一年生の最初に習う「整体観念」が鍼灸師として1番大事って事に気づいたのは卒業して何年も経ってからです。
東洋医学の根本にある考え方のひとつが「整体観念(せいたいかんねん)」です。
これは「身体を部分ではなく、全体として みる」という考え方です。
たとえば肩がこるとき、単に「肩の筋肉が固い」とは限りません。
胃腸の疲れや、ストレス、睡眠不足、気温や湿度の影響など、
さまざまな要素が関わり合って「肩こり」という形で現れているのです。
東洋医学では、内臓・筋肉・血流・気のめぐり、そして感情までもがすべてつながったひとつの生命の流れとしてとらえます。
また、人の身体は自然のリズムの中で生かされており、季節の変化や気候、月のリズムなども私たちに影響を与えています。
このように、身体の中だけでなく「自然との調和」までを含めて全体を見る。
それが「整体観念」です。
日々の不調を、“どこかひとつの異常”ではなく、
身体全体と心、そして生活や環境とのバランスの乱れとしてとらえると、原因が見えやすくなり、自然と回復の方向に向かいやすくなります。
東洋医学や鍼灸、茜メソッドの施術も、この「整体観念」をもとにしています。
ひとつの症状を治すだけでなく、心と身体が調和し、自分らしい自然体に戻ること。それこそが「整う」ということなのです。
技術ばかりではなく、ヒトに寄り添える人間性がとても大切な仕事です。
1人でも多くの人を救える鍼灸師になって欲しいです。

