鍼灸コラム

2025 / 11 / 11  13:39

感じすぎて生きづらいあなたへ

感じすぎて生きづらいあなたへ

それは進化のサインです

 最近、私のもとを訪れる人たちに共通するのは「能力が高すぎて生きづらさを感じている」ということです。
本人はそのことに気づかず、「周囲に合わせられない」「できない自分が情けない」と自分を責め、疲れ果ててしまいます。

けれど、それは“できない”のではなく、“感じすぎるほど進化している”のかもしれません。
社会の仕組みが、まだその感性の速度に追いついていないだけなのです。

 

進化系人間という存在

私はこうした方たちを「進化系人間」と呼んでいます。
彼らは、直感・感覚・共感力が非常に発達し、場の空気や人の感情、言葉にならない“気”の変化を敏感に感じ取ります。
いわば、神経の解像度が高く、世界のエネルギーを高精度にキャッチしている人たち。

その分、常に大量の情報や感情を受け取り続けるため、疲れやすくなり、「自分は弱い」「社会不適合だ」と誤解してしまうのです。
しかし、それは弱さではなく、感受性の進化なのです。

 

旧式社会とのずれ

今の社会は「効率」「スピード」「結果」を基準に動いています。
でも、進化系の人たちはその直線的なリズムでは生きられません。

彼らの世界はもっと有機的で、波のようにゆるやか。直感で理解し、感情で動き、エネルギーで人とつながります。

そのため、旧式の社会の中では摩擦が生まれ、「不安」「疲労」「体の不調」として現れることがあります。
けれど、それは壊れているのではなく、社会の枠が古いだけ。
神経が未来型だからこそ、周波数が合っていないのです。

 

「合わない」は「間違い」ではない

感じすぎる、考えすぎる、共感しすぎる
それは欠点ではなく、未来を先取りした「高感度センサー」
ただ、その繊細な感性を守り、使いこなす方法をまだ知らないだけなのです。

 

感性を社会で生かす「翻訳」

感受性の高い人たちは、目に見えないエネルギーや気配、人の想いを感じ取る力を持っています。
けれど社会は、それを理解できる言語をまだ持っていません。

だからこそ必要なのが、「翻訳」して伝えること
内側の感性のことばを、外の世界でも通じる言葉に変えるそれが翻訳の力です。

たとえば、
「人混みがつらい」は「刺激に敏感で神経が繊細」へ。
「気分の波が大きい」は「共感力が高く、周囲の影響を受けやすい」へ。

言葉を少し変えるだけで、“問題”は“個性”や“才能”へと姿を変えます。

 

東洋医学の視点

東洋医学は、「人と自然はひとつ」という思想の上に成り立っています。
身体と心、内と外、陰と陽、それらが互いに影響し合い、ひとつの「気」として循環していると考えます。

だから、感受性の高い人が社会で疲れやすいとき、
それを「弱さ」ではなく「気のバランスの揺れ」として捉えます。
呼吸・経絡・鍼灸・養生を通じて、その人本来のリズムを取り戻す。

言葉にできない感覚やエネルギーを扱える医学だからこそ、進化系人間の“感じる力”を社会に生かすための翻訳の橋渡しができるのです。

 

治療者の役割

治療者の役割は「治す」ことではなく、その人の感性が社会の中で生きやすくなるように“翻訳”することです。

過敏な神経を「過剰反応」と見なすのではなく「高性能センサー」として尊重する。
エネルギーの揺れを「不安定」と言わず、「調整のサイン」として受け止める。

その人のリズムに合わせて整えることで、
進化した感性が地球上でのびやかに機能できるようになります。

 

感謝の時代へ

これからの時代は、「感じ取る力」が主役になります。
共感・直感・創造、それらはAIにも代替できない、人間の本質的な能力です。

だから今、「感じすぎてしんどい」と思う人たちは、実は時代の最前線に立つ存在

その生きづらさは、進化の副作用。
東洋医学や心理の役割は、その副作用を抑えるのではなく、調律していくことです。

「できない」ではなく「合わない」
「弱い」ではなく「敏感である」
「壊れた」ではなく「変化に先行している」

それを一人ひとりに伝え、自分への否定をほどき、
「自分らしいリズム」で生きられるように整えていく。
進化とは、最初は孤独に見えるもの。
だからこそ、互いに寄り添いながら、人と人をつないでいくことが大切です。

 

感じすぎて生きづらいあなたへ
その感性は、これからの時代が必要とする「光のセンサー」です。
どうか、自分を責めず、少しずつその感受の翼をひろげてください。
あなたの存在が、未来の調和をつくっています。