鍼灸コラム
総合医療として考える鍼灸とは
心身全体を診る、総合医療としての鍼灸
「鍼灸」と聞くと、肩こりや腰痛、膝の痛みなど、筋肉や関節の症状を思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん、痛みの治療は鍼灸が得意とする分野のひとつです。
しかし、本来の鍼灸は「痛いところに鍼をする」だけのものではありません。
東洋医学では、身体を部分ごとに切り離して考えるのではなく、心身一如として全体の状態を捉えます。
たとえば、頭痛があるとき。
首や肩の筋緊張が関係していることもあれば、睡眠不足やストレス、眼精疲労、女性ホルモンの変化、胃腸の不調などが重なっていることもあります。
同じ「頭痛」という症状でも、その背景は一人ひとり違います。
そのため鍼灸では、症状が出ている場所だけではなく、
- 睡眠
- 食欲や胃腸の状態
- 冷えやほてり
- 疲労
- 呼吸
- 自律神経の状態
- 月経や更年期などの変化
- 精神的な緊張やストレス
など、心身全体の状態をみながら治療を組み立てていきます。
「何科に行けばいいのかわからない」不調にも
心身の不調は、必ずしもひとつの臓器やひとつの原因だけで起こるとは限りません。
「検査では異常がないけれど、ずっとしんどい」
「いくつもの症状が重なっている」
「自律神経のせいと言われたけれど、どうしたらいいかわからない」
こうした、ひとつの診療科だけでは捉えにくい不調もあります。
鍼灸の特徴は、病名だけを追いかけるのではなく、今その人の身体で何が起こっているのかを全体から考えること。
筋肉や関節、神経、血流、自律神経、内臓機能、そして心の状態。
それぞれは独立しているのではなく、互いに影響し合っています。
だからこそ、ひとつの症状だけを見るのではなく、心身全体のバランスを整えていく。
それが鍼灸という医療の大きな特徴です。
病院と鍼灸院の役割分担
もちろん、必要な検査や診断、薬、手術などは西洋医学の重要な役割です。
鍼灸はそれに取って代わるものではありません。
西洋医学で原因を調べ、必要な治療を受けながら、鍼灸によって心身全体の状態を整えていく。
それぞれの得意分野を活かして併用することで、より幅広く心身を支えることができます。
痛いと気持ちが塞ぐ、気持ちが塞ぐと無表情になる、身-心-美は繋がってます。
身心のさまざまなつながりを見ながら、その人自身を診ていく。
鍼灸は、そんな【心身全体を診る総合医療】のひとつとして考えてみてはどうでしょうか。

